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1 非正規社員との間に発生しがちなトラブル
企業と非正規社員(パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など)との間では、雇用の不安定さや待遇の差に起因するトラブルが多く発生しています。以下に代表的なケースと具体例を紹介します。
(1)雇止め(契約更新の打ち切り)
契約社員やパート社員が何度も契約更新をしてきたにもかかわらず、突然契約を更新しないといったケースがあります。
例えば、5年間継続して契約更新していた契約社員が、「経営方針の変更」という曖昧な理由で契約を打ち切られた。本人は実質的に“常用”と考えており、不当な雇止めとして労働審判を申し立てた、というような事案があります。
(2)正社員との待遇格差(同一労働同一賃金問題)
業務内容や責任がほぼ同じにもかかわらず、非正規社員の賃金や手当、福利厚生が著しく低い・受けられないという不平等ちったケースがあります。
例えば、工場で同じライン作業をしている非正規社員が、正社員と同じ仕事をしているのに賞与(ボーナス)や交通費の支給がない。裁判で「不合理な待遇差」として争われた事案があります。
【参考判例】大阪医科大学事件、ハマキョウレックス事件(いずれも待遇差が違法と認定されました)
(3)突然のシフト削減・労働時間短縮
パートやアルバイトであっても、継続的な勤務実態がある場合に一方的にシフトを減らされるといったケースがあります。
例えば主婦のパート従業員が、突如として週5日勤務から週2日勤務に減らされました。理由は「人件費削減」でしたが、労働契約の不当な変更として問題化した事案があります。
(4)契約内容の不明確さ/一方的な変更
雇用契約書に業務内容や就業条件が曖昧、あるいは口頭のみで取り決めが行われ、後にトラブルとなるケースがあります。
例えば、採用時に「事務」として契約された契約社員が、突然現場作業に異動を命じられた。契約書に明確な職務記載がなく、本人は納得できず、労働局へ相談したという事案があります。
(5)正社員登用の約束が果たされない
「正社員登用制度あり」と求人に記載があっても、実際は登用が形だけで、ほとんど実現しないケースがあります。
例えば、派遣社員が「1年後に正社員登用あり」と説明を受け入社。しかし実際にはその実績がゼロで、登用の基準も曖昧だったという事案があります。
2 非正規社員との間の労働トラブルの特徴や傾向
(1)雇用が不安定で突然の打ち切りが多い
非正規社員は有期契約が基本で、更新を繰り返していても雇止めされやすいです。契約更新の期待が高まっている場合(長期間勤務など)には、不当な雇止めとして争われるケースが多くなりがちです。
(2)待遇格差が争点になりやすい
非正規社員には、「同じ仕事をしているのに、正社員よりも低待遇」という構図が生じがちで、特に賞与、手当、福利厚生(交通費、住宅手当、休暇制度など)で差があると、法的に「不合理な格差」として訴えられやすいです。
(3)労働時間やシフトのコントロール権が企業側に偏りがち
非正規社員は労働時間が企業の都合で大きく左右されがちで、生活設計に影響を与えるため、シフト削減や一方的な変更はトラブルになりやすいです。
(4)契約内容や労働条件があいまいになりがち
非正規社員は口約束や不完全な契約書で雇用されるケースが散見されがちで、後でトラブルになった際、何をどう合意していたのか証明が難しく、労働者側が不利になりがちな傾向があります。
(5) 正社員登用制度が実態に乏しい場合がある
「正社員登用あり」と書いてあっても実態がないケースも多く、モチベーションの低下や、企業への不信感からトラブルに発展することがしばしばあります。
(6)労働者の立場が弱く、声を上げにくい傾向
非正規社員は雇用が不安定であるため、企業に逆らいづらく、その不満や問題が表面化しにくく、深刻化してから労働局や弁護士に相談するケースが多い傾向があります。
(7)近時の傾向
同一労働同一賃金(特に賞与や手当など)に関する訴訟が増加傾向にあり、派遣社員の待遇差問題も注目されているほか、コロナ禍以降は、シフト削減や雇止めが社会問題化したケースも増加しています。
3 非正規社員の雇用問題対応に対する当センターの3つの強み
(1)労働法規に対する高度の理解を駆使して御社のリスク低減を試みます
非正規社員の労働問題は、正社員のそれよりも各段に難しいです。しかし、非正規社員を軽視しがちの企業風土があったり、非正規社員であるがゆえに金銭リスクは高くないと判断してしまうと、どうしても非正規社員とのトラブル対応が後手に回りがちです。
そこで、非正規社員とのトラブル対応は労働法に詳しい顧問弁護士に任せるのが得策です。当センターでは労働法規に対する高度の知見を活かして御社の課題を解決します。
(2)人手不足の解消と、法務リスクの調和点を探し出します。
昨今、どこの業界でも人手不足です。さらに、賃上げの傾向も強まっていることから、能力が未知数の応募者の採用に躊躇しがちで、非正規社員を「とりあえず」使ってみて…と考える企業は増加しています。
しかし、使える人材なら正社員に登用する、使えない人材ならすぐに切り捨てる、といった大雑把な構想では、法務リスクを抱えがちです。
当センターでは、人手不足や賃上げのお悩みにも配慮しつつ、その中でどのように法務リスクを低減するかを多角的に検証し、御社に最適な解決策を探し出します。
(3)人財マネジメント全般の観点からより良い解決策を提案します
当センター長は、京都大学経営管理大学院で人財マネジメントを副専攻し、当該分野に深い知見を有しています。また、官公庁の内部弁護士として面倒くさい方たちとの折衝を数多く行ってきました。
非正規者社員を採用する理由は多くの場合、①安い労働力が欲しい、②使えない人材であればすぐに切り捨てたい、③業績が悪化したときに解雇できないのは困る、といったところでしょうが、「とりあえず採用してみて、今後は状況に応じて考える」では、どうしてもリスクが生じます。
そうではなく、非正規社員の採用と活用も大事な人財の確保と活用であると考え、御社の成長のために戦略的にどのように非正規社員を取り扱っていくべきかという観点からより良い提案を試みます。
非正規社員の対応を任せる顧問弁護士をお探しの企業様はお気軽に当センターにご相談ください。