契約書による債権回収リスク低減

1 契約書を作成する意義

(1)合意内容についての齟齬をなくす

契約書を作成することは、債権回収リスクを低く抑えるうえで非常に重要です。契約書は、取引の条件や当事者の権利義務を明確に記した法的文書であり、万が一支払いが滞った際に、債権者の立場を守る強力な証拠となります。

口約束や簡易なメールのやりとりだけでは、後から「そんな約束はしていない」「支払期日は違うはずだ」などと反論されるリスクがあり、債権回収が困難になるケースが少なくありません。

例えば、あるデザイン会社がクライアントの依頼でウェブサイトを制作し、納品後に請求書を送付したにもかかわらず、クライアントが「品質が思っていたものと違う」として支払いを拒否したとします。

このとき、事前に契約書が交わされておらず、制作内容や納品基準、支払期日が曖昧だった場合、会社側がいくら請求しても法的根拠が薄く、裁判でも不利になる可能性があります。

一方、契約書があれば、そこに「仕様は事前に双方で確認のうえ決定」「納品後○日以内に請求額を支払う」「品質に関する異議申し立ては納品から○日以内」などの明確な条項を盛り込んでおくことができます。

そうすれば、支払いが滞った場合にも「契約に基づき請求している」という明確な主張が可能になり、内容証明郵便や法的手続きによってスムーズに回収へと進むことができます。

(2)付随的な不利益条項で相手に心理的なプレッシャーをかける

契約書には遅延損害金や支払督促時の手数料負担についても明記することができ、これが支払いを遅らせようとする相手への抑止力になります。

例えば「支払期日を過ぎた場合は年14.6%の遅延損害金を加算する」などと定めておくことで、相手方も不履行のリスクを意識せざるを得なくなり、結果として期日通りの支払いを促すことができます。

(3)「正統性」に基づく誠実な対応を引き出す

契約書の存在そのものが相手に「信頼関係に基づく正式な取引である」という認識を持たせ、責任感のある行動を引き出すことにつながります。とりわけ初めて取引する相手や、信用力に不安のある個人事業主・小規模企業との契約では、こうした書面による拘束力が極めて重要です。

また、万が一裁判などの法的手続きに移行した場合でも、契約書があることで訴訟の準備が迅速かつ有利に進みます。裁判所も契約書の存在を重視するため、債権者が請求の正当性を立証しやすくなり、和解や判決による回収が現実的となります。

総じて、契約書の作成は、債権回収リスクを予防する「最初の一手」であり、トラブル発生時の「最後の砦」としても機能します。取引の安全性を確保し、業務を円滑かつ持続的に行うためには、どんなに小さな取引であっても契約書の整備を怠らないことが、経営の基本姿勢といえるでしょう。

2 契約書の有効性は弁護士次第で大きく変動する

(1)顧問弁護士を通じてリスクに応じた条項を入れるのがセオリー

基本取引契約書の作成に顧問弁護士が関与することで、貸し倒れリスクを効果的に低減することが可能になります。基本取引契約書は、継続的な取引における全体的なルールや条件を定めるものであり、その内容の正確さと法的妥当性が、将来的なトラブルや債権回収不能のリスクを大きく左右します。

顧問弁護士が契約書の作成に関与することで、取引に潜むリスクを事前に洗い出し、法的な観点からそれらに対応する条項を盛り込むことができます。

例えば、支払条件や遅延損害金の設定、相手方が債務不履行に陥った場合の解除条項や保証条項、さらには担保設定の要否など、実務上見落とされがちな部分も含めて、専門的かつ抜けのない内容が整備されます。

例えば、弁護士の助言により「相手の信用状態が悪化した場合には納品を停止できる」や「売掛金が一定額を超えたときには追加の担保を求めることができる」といった条項を組み込んでおけば、貸し倒れの兆候が見えた段階で早期にリスクを回避する行動が取れるようになります。

(2)契約条項の執行可能性の確保

契約書の記載に曖昧さが残っていると、債権回収時に「そもそもどの時点で債務不履行と判断できるのか」が争点になり、訴訟や交渉が長引く可能性があります。顧問弁護士は、そのような曖昧さを排除し、解釈の余地が少ない明確な文言を用いることで、トラブル時の対応を迅速かつ有利に進められるようにします。

(3)弁護士が作成したことによる「正統性」

弁護士が関与して作成された契約書があることで、取引先にも「法的に整備された関係である」という抑止力が働き、支払いを軽視したり、約束を破ったりするリスクも抑えられます。これは特に、取引先が中小企業や個人事業主である場合に顕著です。

このように、顧問弁護士の関与によって、契約段階からリスクを見据えた文書作成が行われることで、貸し倒れという最悪の事態を未然に防ぐ体制が整います。法務のプロの知見を取り入れることは、将来の損失を防ぐための「投資」として非常に有効であるといえるでしょう。

3 当センターを活用をお勧めする3つのメリット

(1)法律・会計・IT・経営など多方面のリスクに敏感

当センター長は弁護士だけでなく、公認会計士やITストラテジスト、中小企業診断士など、様々な資格と、当該資格に基づく職歴があり、債権回収における多方面のリスクを察知することに長けています。

当然、リスクを察知できなければ、具体的な条項に落とし込むのは困難であり、当センターではこうしたリスクを早期に察知して対策し、契約書による債権回収リスクを低減することに長けています。

(2)執行逃れの豊富な経験から対応策も豊富に構築可能

当センター長は、いわゆる「イソ弁」の時から様々な執行逃れのケースと向き合ってきました。債権回収自体は若い弁護士でもできる仕事であっても、そのリスクを低減するためには、こうした執行逃れの例に多数触れ、場数を踏まなければ難しいでしょう。

当センターではこうした経験から、相手の次の一手を先読みして、その対策を契約に盛り込むのが得意です。

(3)業歴20年以上の経験

当センター長は弁護士としての業歴が20年以上で、契約書作成はもはやルーティンとなっており、弁護士登録後に始めたブログも約20年にわたって連日更新を継続しています。

こうして文章作成はもはや日常生活の一部であり、契約書におけるチェックポイントも完全に頭に入っていることから、御社に有利な契約書の作成はそう難しくありません。

債権回収のために弁護士との顧問契約の締結を検討されている企業様におかれましては、是非、当センターにお気軽にご相談ください。

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