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1 クレーマー対応で失敗するケース
企業がクレーマー(過剰・不当な要求を繰り返す顧客)に対応する際、「お客様は神様」的な姿勢を取り続けた結果、かえって問題が拡大するというケースがよくあります。
(1)過剰に謝罪・譲歩してしまう
ある小売店で、客が「この商品で怪我をした」と主張しました。
調査の結果、商品には欠陥がありませんでしたが、店長がとりあえず丸く収めようと、商品代金を返金し、お詫びの品を提供したところ、翌週、同じ客が別の商品についても「危険だ」とクレームを入れてきたケースがあります。
このケースでは、一度でも根拠のない要求に応じてしまうと、「押せば引く」と判断され、常習クレーマー化する可能性がある点に問題があり、社員の士気低下や、他の顧客への不公平感も生まれる危険があります。
(2)担当者が個人対応してしまう
ある飲食店で、クレーム対応を新人スタッフが一人で対応する決まりでしたが、顧客にペースを握られ、やがて私的なメールやSNSアカウントにまで連絡が来るようにない、精神的に疲弊して退職してしまったケースがあります。
このケースでは、クレーマーは「この人なら押せる」と思い、執拗にターゲットにすることがあるため、個人が矢面に立つことにより心理的・実務的リスクが発生するおそれがある点に問題があり、組織としての対応体制構築が必要でした。
(3)対応履歴を残していない・共有されていない
コールセンターに何度も電話をしてくるクレーマーに対し、オペレーターがその都度謝罪していましたが、対応履歴が部署内で共有されておらず、毎回初めてのクレームとして扱われていたため、相手は「この会社は簡単に折れる」とエスカレートしていったケースがあります。
このケースでは、情報共有が不十分だと、クレーマーが対応のズレを利用して交渉優位に立つ可能性があり、社内でも無駄な工数がかかり、真っ当な顧客対応が手薄になるおそれがある点に問題があります。対応履歴はしっかりと残して社内で共有する必要があります。
(4)毅然とした対応のタイミングを逃す
クレーマーが「謝らなければSNSに悪評を拡散する」と脅迫してきたため、企業は「それだけは避けたい」と謝罪動画まで撮影して提供したところ、SNSで当該動画を拡散されて、さらに炎上してしまったケースがあります。
このケースではクレーマーを過剰に恐れてしまった結果、脅迫的な要求をエスカレートさせてしまった点に問題があり、一線を越えたら、毅然と「法的措置も視野に入れる」姿勢が必要です。
2 顧問弁護士を活用してクレームを効果的に法的対処
(1)「土下座しろ」と要求してきた悪質クレーマーに毅然対応
事案:飲食チェーン店で、客が「料理がまずかった」と怒鳴り込み、店舗スタッフに「土下座しろ」と迫った。店長が謝罪しても引かず、SNSで炎上させると脅迫してきました。
顧問弁護士の対応:すぐに弁護士に連絡し、以後の対応を全て弁護士が窓口になり、客に対し、これ以上の要求は業務妨害・名誉毀損にあたる可能性があると文書で通告したうえで、場合によっては警察への相談・告訴も視野に入れる旨を明示しました。
結果:クレーマーは一切の連絡を停止。店舗スタッフの精神的ダメージも軽減し、以後同様のケースにも迅速対応できるマニュアルが整備されました。
(2)「不当な返金要求」に法的観点から対応
事案:ネット通販で「商品が気に入らない」と理由にならない返金を要求してきた。企業がこれを断ると「国民生活センターに訴える」「消費者庁に通報する」などと主張し始めました。
顧問弁護士の対応:弁護士名義で内容証明郵便を送付し、利用規約に基づき、返金対象外であることを法的に説明した。また、同様のリスクを避けるため、返品ポリシーの表記も見直すよう企業に指導しました。
結果:クレーマーは沈静化した。企業は法的裏付けのある「NO」が言えるようになり、以後の同様クレームにもブレない対応が可能になりました。
(3)SNS・掲示板への誹謗中傷に法的措置を示唆
事案:元顧客がX(旧Twitter)や掲示板で、根拠のない事実をねじ曲げた誹謗中傷を継続的に投稿し、企業イメージに悪影響が出始めました。
顧問弁護士の対応:発信者情報開示請求の準備を進めると同時に、相手に警告文を送付して「名誉毀損および業務妨害の可能性がある」として法的責任を通知し、誹謗投稿の削除申請をSNS運営に対して弁護士名義で実施しました。
結果:当該投稿は削除され、投稿者からの中傷も停止し、企業は名誉回復と再発防止の両方を達成することができました。
(4)「企業を揺さぶる常習クレーマー」のリスト化と対応フロー整備
事案:毎月のように難癖をつけて金品や謝罪を要求してくるクレーマーが複数名存在するため、対応工数も多く、社員のストレスが大きくなっていました。
顧問弁護士の対応:クレーマーの履歴を顧問弁護士と共有し、「不当要求」と見なせる基準を策定のうえ、以後はすべて弁護士が一次対応に入り、直接の接触を避ける体制へ移行した。また、悪質度の高いケースには警告文の送付や刑事告訴の準備も進めました。
結果:クレーマー側が接触を諦め、再発がほぼゼロになった。社員が本来の業務に集中できるようになり、CS(顧客満足度)全体も改善されました。
- 法的リスクを前提にした「冷静な対応」が可能
- 現場スタッフをクレーマー対応のストレスから守ることができる
- 悪質な相手に「これ以上は通用しない」と明確に伝えられる
- 記録・証拠の整備と、将来の法的対処も同時に行える
3 当センターの活用をお勧めする3つの強み
(1)法律・会計・IT・経営の幅広い範囲でリスク評価できる
当センター長は、弁護士だけでなく、公認会計士やITストラテジスト、中小企業診断士などとしても活躍しており、例え小さな火種でも、それがどの程度のリスクになり得るか、法律・会計・IT・経営上のリスク評価を的確に行うことで、初動ミスの可能性を徹底的に低減します。
(2)官公庁などでクレーム対応の経験が豊富
当センター長は官公庁などでのクレーム対応の経験が豊富で、クレーマーの思惑や、駆け引きのコツを熟知しており、個別の対応に活かせます。
(3)リスクに応じた損害額を見積もり、これを最小化する提案ができる
当センター長は、数字に強いため、データベースで様々な選択肢のメリット・デメリットを数値化し、これを最小化する選択肢を選ぶよう、データの提供、加工、意思決定の支援まで一気通貫で対応しております。
クレーム対応を任せる顧問弁護士をお探しの企業様におかれましては、是非、お気軽に当センターにご相談ください。