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1 クレームの証拠化の重要性
企業においてクレームを証拠として残すことの意義は非常に大きく、単なるトラブル対応にとどまらず、リスク管理や改善活動、法的防衛にまでつながります。
以下にその意義を、具体例とともにわかりやすく説明します。
(1)法的トラブルへの備え
クレームの内容や対応履歴を証拠として記録することで、後々の訴訟リスクや不当な請求に備えることができます。
例えば、顧客が「店頭でスタッフに暴言を吐かれた」とSNSで誤情報を発信し、名誉毀損の恐れが発生したようなケースにおいて、実際には丁寧な対応をしていたことを示す通話録音・防犯カメラ映像・対応記録が残っており、企業側の正当性を客観的に証明して、企業の信用を守ることができたケースがあります。
(2)社内の再発防止・品質改善に活用
クレームの傾向を分析することで、商品・サービス・対応の質を向上させ、同じミスの再発を防ぐことができます。
例えば、食品製造業で、「異物混入があった」とのクレームが複数回記録された場合、クレームの証拠から、「同一製造ラインの時間帯に集中していた」ことを発見し、原因(部品の緩み)を特定して、改善対応後、同様のクレームがゼロになったケースもあります。
(3)従業員保護・ハラスメント対策として
理不尽な顧客からのクレームやカスタマーハラスメントに対し、従業員を守る根拠資料となることがあります。
例えば、カスタマーサポートの社員が、暴言・長時間の電話対応を強いられた場合に、会話記録と通話時間を証拠として保存し、対応ルールを社内で見直すことにより、社員への精神的負担軽減と離職防止につながったケースがあります。
(4)第三者(顧客、取引先、監督官庁)への説明責任を果たす
外部からの問い合わせ・調査・監査などに対し、客観的な根拠をもって説明することができます。
例えば、医療機器販売会社が顧客から「使用中に不具合があった」とのクレームを受けた際に、対応履歴・製品ロット・検品記録・過去の同様事例を提示し、製品の安全性と適切な対応を証明して、厚生労働省の監査時にも企業の信頼性が評価されたケースがあります。
(5)社内教育・対応力の強化に活用する
証拠を過去の対応記録をマニュアル化・教育資料に反映させ、社員の対応スキル向上につなげることもできます。
例えば、特に難しいクレーム対応の録音や記録を社内研修で活用し、「よい対応」「NG対応」の例を明確化することにより、新人教育や対応標準化に寄与し、サービス全体の質が向上したケースがあります。
2 顧問弁護士による法的対応の例
(1) 悪質クレーマー(カスタマーハラスメント)への対応
ア 証拠の確保
- 通話の録音
- 対応記録(暴言・威嚇・長時間拘束の経緯)作成
- メールのスクリーンショット作成など
イ 法的対応
- 接触禁止の仮処分申立て
- 名誉毀損や業務妨害での損害賠償請求
ウ 具体例
大手小売チェーンで、ある顧客が「クレームは顧客の権利だ」として、毎日数時間の電話・社員への人格否定発言を繰り返す方がおり、記録した音声や社内メモをもとに、弁護士が内容証明を送付し、さらに「業務妨害」として仮処分を申請することにより、裁判所が接触禁止命令を出し、店舗と従業員の安全を守ったケースがあります。
(2)SNS上の風評被害・虚偽投稿に対する対応
ア 証拠の確保
- SNSの投稿スクリーンショット作成
- クレーム発生時の事実関係記録(日時・対応内容)作成
- 第三者証言や監視カメラ映像の確保
イ 法的対応
- 発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法)
- 名誉毀損による損害賠償請求・投稿削除請求
ウ 具体例
レストランに来店した客が「虫がいた」とSNSに投稿した客がいたが、実際は、クレームをつけて無料にさせようとした悪質な行為で、防犯カメラにも証拠があり、投稿が拡散され風評被害が出たため、弁護士がプロバイダへ投稿者のIP開示請求のうえ、投稿者特定後、削除要請と損害賠償を請求。和解により謝罪文と投稿削除を実現したケースがあります。
(3)不当要求に対する「恐喝罪」や「不退去罪」などの刑事告訴
ア 証拠の確保
- 店舗での執拗な要求を記録した映像や音声の録画・録音
- 長時間居座った証拠(滞在時間ログなど)の保存
イ 法的対応
- 刑事告訴(恐喝罪、不退去罪、強要罪)
ウ 具体例
通信販売会社で、客が「返金しないならネットで炎上させる」「社長を呼べ」などと脅迫した客がおり、応じなければ帰らないと居座り続けたため、警察へ通報しました。録音データや防犯カメラの映像により、不退去と恐喝未遂で警察が捜査し、このクレーム行為が明確な犯罪と認定され、刑事告訴が受理されました。
(4)従業員への誹謗中傷に対する名誉毀損対策
ア 証拠の確保
- 音声の録音(「お前なんかクビにしてやる」など)
- SNSやレビューサイトへの中傷書き込みの保存
イ 法的対応
- 誹謗中傷投稿の削除請求
- 加害者に対する損害賠償請求
ウ 具体例
美容院で接客したスタッフが、顧客に「ブス」などとSNSで晒され、精神的苦痛から休職しました。店側が顧問弁護士を通じ、発信者特定と削除請求を行い、名誉毀損による損害賠償(慰謝料)を請求したところ、投稿者が謝罪し、賠償金を支払って和解が成立しました。
3 クレームに対応における当センターの3つの強み
(1)デジタルに強い
当センター長は弁理士・ITストラテジストでもあり、通常の弁護士よりもはるかにデジタル技術に強いです。そのため、新しい技術を用いた確実な証拠の残し方や、証拠を残し損ねた際のサルベージ手法にも詳しく、対クレーマーの証拠保全にぬかりがありません。
(2)数字に強い
当センター長は公認会計士でもあり、数字ベースで少しでもお得な判断をご提案いたします。債権価値だけではなく、時間価値もふまえて、無駄な活動を極力減らし、企業の損益に関わる領域を絞り込んで重点対処する提案を心がけています。
(3)交渉の場数を踏んでいる
当センター長は官公庁で特殊陳情人対応の経験があり、交渉の経験が非常に豊富です。「ああ言えばこう言う」タイプの面倒くさい相手も多数相手にしてきた経験がありますので、安心してクレーマー対応をお任せください。御社に最適な顧問契約の内容をカスタマイズさせていただきます。
クレーム対応を任せる専門家をお探しの企業様におかれましては、是非当センターにお気軽にご相談ください。