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1 クレームに起因する訴訟のパターン
クレーム(苦情や不満)が訴訟に発展するケースには、共通して「適切な初期対応がされなかった」「顧客や関係者との信頼関係が崩れた」という背景があります。
以下に、実際に訴訟に発展しやすい典型的なクレーム事例を、具体例とともにご紹介します。
(1)商品やサービスの欠陥に関するクレーム
ある家電製品が購入後すぐに発火しました。顧客が販売店にクレームを入れるも、「使用方法の問題」としてまともに取り合ってもらえなかったため、顧客が人的・物的被害を受けたとして製造元と販売店を相手取り損害賠償請求訴訟へ発展したケースがあります。
このクレームが訴訟に発展した理由としては、製品の安全性に関わる重大な欠陥の有無についての情報開示不足・企業側の責任回避的対応・実害(火災・怪我等)が発生したこと、などが挙げられます。
(2)顧客対応の不備・差別的発言
飲食店で外国人客に対し、他の客と異なる対応をした結果「差別的対応だ」としてSNS上で拡散され、店側が謝罪せず対応を無視したため、名誉毀損・損害賠償を求めた訴訟へ発展したケースがあります。
このクレームが訴訟に発展した理由としては、対応者に差別的な言動があったこと(その前提として差別的な言動を許容する組織風土があったこと)・SNSによる拡散と社会的注目・初動での誠意ある対応の欠如、などが挙げられます。
(3)契約・請負に関するトラブル
リフォーム会社に依頼した住宅改修で、施工ミスが発覚。再施工を要求したが応じてもらえなかったため、クレームがエスカレートし、契約不履行・瑕疵担保責任を巡る訴訟に発展したケースがあります。
このクレームが訴訟に発展した理由としては、金銭的損害+生活への影響が生じたこと、契約内容と実態が乖離していたこと、企業側が責任を曖昧にしたまま放置したこと、などが挙げられます。
(4)医療サービスに関する不満
手術ミスにより後遺症が残ったにもかかわらず、病院側が「想定内のリスク」と説明したため、患者・家族が納得せず、説明義務違反・医療過誤で訴訟に発展したケースがあります。
このクレームが訴訟に発展した理由としては、専門性の高さにより説明責任が問われることへの配慮不足・患者に実害(身体的被害)がある・医師側の誠意ある説明や謝罪がない、などが挙げられます。
(5)学校・教育機関での対応不備
いじめに関するクレームを保護者が学校に申し立てるも、対応されず、その後、子どもが不登校・自殺未遂にまで至ったため、学校の対応義務違反として訴訟に発展したケースがあります。
このクレームが訴訟に発展した理由としては、子どもの人権・安全にかかわる問題であること・保護者の強い感情的・法的アプローチがあったこと・組織的隠蔽と見なされる対応があったこと、などが挙げられます。
2 顧問弁護士による訴訟リスク低減
顧問弁護士は「訴訟リスクの最前線での防波堤」として、クレーム対応の各段階で訴訟対策に非常に重要な効果を発揮します。
以下に、弁護士との顧問契約締結により訴訟予防に貢献できる具体的な関与方法と、それに関連する事例をご紹介します。
(1)初動対応のアドバイス・レター作成
クレームが寄せられた段階で、事実関係を整理し、対応文書(謝罪文・見解書・回答書など)を弁護士と相談して作成することが期待されます。
例えば、飲食店で「食中毒を起こした」とのクレームがあったが、因果関係が不明瞭であるようなケースで、弁護士が丁寧な聞き取りと調査結果を踏まえた回答書を作成し、感情的な対立を避けつつ、謝意を示すことにより、顧客側が冷静さを取り戻し、示談で解決したケースがあります。
(2)交渉代行・同席
感情的・攻撃的なクレーム対応が難しい場合、弁護士が窓口に立つことで相手のトーンを落ち着かせることが期待されます。
例えば、リフォーム業者に対し「工事ミスで生活に支障が出た」と怒鳴り込んできた顧客に対して、弁護士が交渉に同席し、法的責任の範囲を冷静に説明することにより、修繕費用の一部負担で合意し、訴訟には発展せずに済んだケースがあります。
(3)社内対応フローの整備(予防策)
クレームの内容・対応経過を正確に記録・保存する体制を構築。再発防止策の検討も支援することが期待されます。
例えば、医療機関での患者クレームが続発する現場に対して、弁護士が「対応記録テンプレート」「初期対応マニュアル」等を整備し、職員研修を実施することにより、現場の対応品質が向上し、感情的なトラブルの減少につながったケースがあります。
(4)訴訟リスクの見極めと早期和解の助言
「訴えてやるぞ」という発言があった際に、相手の言い分や証拠の重みを法的観点から評価して、訴訟リスクを低減することが期待されます。
例えば、取引先から「契約違反」として損害賠償を要求されるも、契約書に曖昧な条項があったため、弁護士がリスクを整理し、先手を打って解決金を提示することにより、訴訟ではなく和解で終結したケースがあります。
(5)広報・危機管理の法的チェック
SNSやメディアで拡散されたクレームに対し、広報対応の法的助言を行うことが期待されます。
例えば、美容サロンの対応がTikTokで炎上した際に、弁護士が謝罪文と再発防止策をリーガルチェックし、名誉毀損を避ける表現を提案することにより、感情の鎮静化と信頼回復につながったケースがあります。
3 当センターの活用をお勧めする3つの強み
(1)法律・会計・IT・経営の幅広い範囲でリスク評価できる
当センター長は、弁護士だけでなく、公認会計士やITストラテジスト、中小企業診断士などとしても活躍しており、例え小さな火種でも、それがどの程度のリスクになり得るか、法律・会計・IT・経営上のリスク評価を的確に行うことで、初動ミスの可能性を徹底的に低減します。
(2)リスクに応じた損害額を見積もり、これを最小化する提案ができる
当センター長は、数字に強いため、データベースで様々な選択肢のメリット・デメリットを数値化し、これを最小化する選択肢を選ぶよう、データの提供、加工、意思決定の支援まで一気通貫で対応しております。
(3)官公庁などでクレーム対応の経験が豊富
当センター長は官公庁などでのクレーム対応の経験が豊富で、クレーマーの思惑や、駆け引きのコツを熟知しており、個別の対応に活かせます。
クレーム対応をする顧問弁護士の企業様におかれましては、是非、お気軽に当センターにご相談ください。