債権回収

債権回収のために訴訟提起するメリットと注意点

2025-08-22

債権回収の最終手段が訴訟提起

企業は日々の経済活動において、多様な取引を通じて数多くの債権を有することになります。通常、取引先は契約や請求書に基づいて支払期限を守り、適切に代金を支払います。なぜなら、支払いを怠れば信用を失い、今後の取引継続に大きな悪影響を及ぼすためです。企業活動における信用は資金力と並んで重要な経営資源であるため、ほとんどの取引先は期限を守り、債権者がわざわざ取り立てに動く必要はありません。
しかしながら、すべての取引が円滑に進むわけではありません。例えば、相手先企業の財務状況が悪化し、資金繰りが困難となる場合があります。その場合、資金を確保するために支払いを後回しにする、あるいは意図的に支払いを拒むという行為が発生することもあります。また、ときには経営者や担当者の感情的な理由、つまり取引内容への不満や過去のトラブルを理由に、合理的な根拠なく支払いを拒否することもあります。こうした状況に直面すると、通常の交渉や請求書の再送付だけでは解決が困難です。
このような場合、債権者が最後の手段として検討するのが「訴訟提起」です。訴訟は裁判所という公的機関を通じて法的に相手の支払い義務を確認し、必要に応じて強制力を行使できるようにするための制度です。ただし、訴訟は一方的に有利なものではありません。確かに法的拘束力を得られるという大きなメリットがありますが、その一方で時間や費用、そして精神的な負担といったデメリットも存在します。したがって、安易に「訴訟をすれば必ず回収できる」と考えるのは誤りです。
そこで本稿では、この訴訟提起という最終手段について、そのメリットと注意点を整理し、債権回収の実務において検討すべきポイントを解説していきます。

強制執行が可能になる

訴訟を提起して勝訴判決を得る、あるいは裁判上の和解に至った場合、債権者は「強制執行」という法的手段を利用できるようになります。これは、債務者が自発的に支払わない場合でも、裁判所の手続きを通じて相手の財産を差し押さえ、回収することが可能となる制度です。例えば、銀行口座の預貯金を差し押さえれば、そこから直接回収することができます。また、不動産や動産といった資産についても差し押さえの対象となり得ます。
債務者にとって、強制執行は大きな脅威です。預貯金が差し押さえられれば運転資金や生活費が不足し、事業や生活の継続に重大な支障をきたします。そのため、多くの債務者は強制執行に至る前に自発的な支払いを選択する傾向があります。つまり、債権者にとって訴訟提起は「強制執行が可能になる」という直接的な効果と同時に、「支払いを促す強力なプレッシャー」としても機能します。
もっとも、強制執行は万能ではありません。手続きには時間と費用がかかり、また差し押さえ対象となる財産が存在しない場合は実効性を欠きます。特に、債務者に資産が乏しい場合やすでに他の債権者による差し押さえが行われている場合には、満額回収が難しくなることもあります。そのため、強制執行は単なる回収手段としてではなく、債務者に対する交渉材料としての性格も強いといえるでしょう。
現実的には、債権者が強制執行の準備を進めつつ、債務者に自発的な支払いを促す形が多く見られます。訴訟によって裁判所のお墨付きを得ること自体が債務者にとって重い心理的負担となるため、支払いに向かわせる強力なカードとなるのです。

消滅時効対策

債権には「消滅時効」という制度が存在し、一定期間が経過すると債務者が「時効を援用する」と主張することで、債権者は回収を求められなくなります。一般的に商取引における債権は5年で消滅時効にかかることが多く、長年支払いが滞っている債権を放置すれば、最終的に回収の可能性が完全に失われる危険があります。
このような事態を防ぐために有効なのが、訴訟提起です。訴訟を起こすと、時効の進行が中断され、判決や和解によって新たな債務名義が確定します。これにより、債権の効力が維持され、長期にわたって回収の可能性を残すことができます。債権者にとっては、たとえすぐに現金を回収できなくとも、「債務は消えない」という状態を確保できることが大きな意味を持ちます。
さらに、訴訟提起は債務者に対して「支払いを逃さない」という強い意思表示にもなります。長期間の放置によって債務者が「もう請求されないだろう」と油断している場合、突然の訴訟は強烈なリマインド効果を生みます。これにより、債務者が和解に応じる、あるいは分割払いを申し出るなど、現実的な解決につながることも少なくありません。
もちろん、訴訟提起が必ずしも即時の回収につながるわけではありませんが、時効の完成を防ぎ、債権を法的に維持する手段としては極めて有効です。特に、古い債権であっても将来的に回収の見込みがある場合には、訴訟による時効中断を検討する価値が十分にあります。

費用対効果

訴訟提起には、避けて通れないコストが伴います。まず、裁判所に対しては収入印紙を納付する必要があり、その額は請求金額に応じて変動します。さらに、郵券(郵便切手)を納めて相手方への書類送達費用を負担しなければなりません。これらは手続き上の必須費用です。
また、訴訟が争いになる可能性がある場合、弁護士に依頼するのが通常です。弁護士費用には着手金や報酬金のほか、実費が含まれ、請求額や事件の難易度に応じて相当な金額になることがあります。加えて、訴訟を提起したからといって必ずしも勝訴できるわけではなく、勝訴判決を得ても相手に資産がなければ回収できないという現実もあります。
さらに、強制執行を行う場合には、別途手続き費用が発生します。例えば、不動産の差し押さえや競売手続きには相応の費用がかかり、預貯金差し押さえでも一定の手続的支出が必要です。つまり、訴訟から強制執行に至るまでには複数の段階で費用が積み重なり、必ずしも回収額がそれを上回るとは限りません。
したがって、訴訟提起を検討する際には、見込まれる回収額と必要な費用を比較し、費用対効果を冷静に分析することが重要です。特に、少額の債権であるにもかかわらず多額の費用を投じてしまうと、最終的に赤字となるおそれもあります。訴訟は「勝てばよい」というものではなく、「回収して利益が残るか」という観点から判断する必要があるのです。

見通しとバランス

訴訟提起を現実に検討する際には、まず相手の財務状況を可能な範囲で調査することが欠かせません。金融機関との取引状況や不動産の所有状況、商業登記簿や官報公告などから、債務者がどの程度の資産を保有しているか、回収の見込みがあるかを推測することができます。債務者に資産がなければ、たとえ勝訴しても回収できず、費用倒れになる危険が高まります。
次に、訴訟提起にかかる費用を概算し、どの程度の資金的負担が発生するかを見積もります。裁判所に納める収入印紙や郵券に加え、弁護士に依頼する場合の費用も加味する必要があります。これらの支出と見込まれる回収額を照らし合わせ、費用対効果が見合うかを検討することが重要です。
さらに、訴訟を行うか否かの判断にあたっては、時間的コストや心理的負担も無視できません。裁判は数か月から数年に及ぶこともあり、その間に経営資源を割く必要が生じます。これらの負担が事業全体に与える影響を冷静に考慮することが求められます。
訴訟提起は、あくまでも数ある回収手段のひとつにすぎません。「必ず訴訟すべき」と決めつけるのではなく、相手の資産状況や訴訟費用、自社の経営状況を総合的に判断し、バランスよく柔軟に対応することが肝要です。場合によっては交渉や分割払いの合意で十分な成果を得られることもあります。重要なのは、訴訟を「目的」とせず、「回収を最大化するための手段」と位置づけることです。

まとめ

債権回収における訴訟提起は、取引先が支払いを拒む場合に選択される最終手段です。訴訟を行えば、勝訴判決や和解によって強制執行が可能となり、相手に大きなプレッシャーを与えられます。また、時効の完成を阻止し、債権を維持するための有効な手段としても活用できます。しかし一方で、訴訟には費用や時間、心理的な負担が伴い、必ずしも回収が保証されるわけではありません。
したがって、訴訟提起を検討する際には、相手の財務状況や見込まれる回収額、必要な費用を慎重に分析することが不可欠です。そのうえで、費用対効果を見極め、訴訟以外の方法も含めて柔軟に判断する姿勢が求められます。重要なのは「訴訟をすること自体」ではなく、「最終的に債権を回収し、経営に資する成果を得ること」であるといえるでしょう。
当センターでは弁護士兼公認会計士が相手の財務状況をふまえて御社に少しでも有利な方策を徹底的に考え抜いてご提案させていただきます。下記よりお気軽にご相談ください。

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退職者への損害賠償請求はどこまで追うかの線引きが重要

2025-08-15

退職者に対する損害賠償請求は難しい

近年、職場において責任感の欠如が問題となるケースが増えています。業務中に重大なミスや不誠実な対応をしながらも、何ら責任を取らずに退職してしまう従業員が目立つようになっています。企業側としては被った損害を放置できず、退職者本人や、契約がある場合は身元保証人に対して損害賠償請求を検討することになります。
もちろん、債権回収の原則としては「できる限り100%の回収を目指す」というのが基本です。未回収債権を安易に諦めれば、組織の財務基盤を揺るがすことになりかねません。しかし、この考え方をそのまま退職者に対する損害賠償請求に適用すると、現実的に多くの問題に直面します
退職者の場合、在職中の従業員とは違い、日常的な接点がなくなり、連絡や支払い管理も困難です。さらに、会社への忠誠心や将来的な関係維持の動機づけがなくなるため、交渉は硬直化しやすくなります。
そのため、退職者への損害賠償請求は、法的権利の存在だけではなく、「現実的にどこまで追えるのか」という視点が不可欠です。そこで本稿では、この問題について、具体例や法的要素、資力の問題、そして妥協点の見極め方まで、段階的に解説していきます。

退職者への損害賠償請求の具体例

退職者への損害賠償請求が成立し得る場面は、民法上の不法行為責任や債務不履行責任が認められるケースです。典型的な例として、まず挙げられるのは取引先との関係悪化による損害です。たとえば、担当者が取引先に対して失礼な態度をとり、長年の取引が打ち切られてしまった場合、失注による売上損失は相当額に上ることがあります。
また、情報漏洩も深刻です。業務中に送信先を誤ってメールやFAXを送ってしまい、顧客情報や機密資料が外部に流出した場合、その後の信用失墜やクレーム対応のコストは膨大です。このような過失は退職後も責任追及の対象となり得ます。
さらに、業務中の交通事故も典型例です。営業中に社用車を運転して事故を起こし、第三者に損害を与えた場合、会社が賠償責任を負った後、加害従業員に求償することがあります。
従業員間の暴力行為も忘れてはなりません。職場での暴力によって被害者が長期休業を余儀なくされ、その間の人件費や業務損失が生じる場合、加害者に賠償を求めることは十分考えられます。
これらはすべて「辞めたから関係ない」という話ではなく、退職後も法的責任が残る行為です。

過失相殺の可能性

損害賠償請求では、加害者の過失が明らかであっても、会社側にも落ち度があれば「過失相殺」が行われ、請求額が減額されることがあります。例えば、会社が従業員に業務内容を十分に説明していなかった場合や、必要な安全配慮措置を怠っていた場合、従業員のミスの一因が会社側にあると判断される可能性があります。
また、会社は従業員を使用して利益を得る立場にあるため、その業務遂行中に起こった事故やトラブルについて、一定のリスクを負担すべきだという考え方があります。このため、従業員に全額賠償を求めることは、法律上も社会的感覚からも難しい場合があります。
さらに、人は誰しもミスをするものであり、ミスをゼロにすることは不可能です。企業経営の観点からも、ミスが発生した場合の損害を最小限に抑える体制を整えておくことが求められます。具体的には、内部統制の強化や業務マニュアルの整備、二重チェックの仕組みの導入などが挙げられます。加えて、業務災害や賠償責任に備えた保険加入も有効な手段です。
したがって、退職者への損害賠償請求を検討する際には、過失割合の見込みや、会社側の防止策の有無を冷静に評価することが重要です。全額請求を前提に動くと、現実とのギャップで訴訟リスクや交渉の行き詰まりを招きやすくなります。

退職者の資力の問題

法的に損害賠償請求権が認められたとしても、相手に支払能力がなければ実際の回収はできません。退職者が再就職せず無職である場合や、収入が非常に少ない場合、裁判で勝訴判決を得ても「絵に描いた餅」になってしまうことがあります。
さらに、退職者の居所や勤務先が不明であれば、差押えなどの強制執行すら困難になります。判決を得ても、実際の資産や給与が把握できなければ回収は事実上不可能です。
現実的な対応としては、判決を得るよりも、和解で少しずつでも支払わせる方が有効な場合があります。和解により、退職者が自主的に支払いを続ける環境を作れば、全額は無理でも一定の回収は期待できます。ただし、和解では総額が減額され、さらに長期の分割払いになることが多く、企業側にとっては管理や督促の手間が増えます。
長期分割払いの管理は軽視できません。入金遅延が発生すれば、そのたびに連絡や再交渉が必要になり、担当部署の負担が増大します。そのため、資力が限られる相手からの回収は、効率とコストのバランスを見極めた上で戦略を立てる必要があります。

落としどころを早めにみつけて誘導する

退職者への損害賠償請求では、「どこで妥協するか」という線引きを早めに決めることが肝心です。相手の資力を踏まえ、現実的に回収可能な金額を見極める必要があります。
特に相手に資力がない場合、法的には賠償請求権があっても、全額回収を目指すのは非現実的です。そのため、損害を完全に埋め合わせることよりも、「落とし前をつけさせる」という意味合いで、相手が支払える範囲での精一杯の金額で合意することも選択肢となります
全額回収にこだわりすぎると、訴訟費用や回収業務の負担が膨らみ、最終的には企業側の損失が拡大することも珍しくありません。逆に、早期に落としどころを定めれば、弁護士としても交渉のシナリオを描きやすくなり、相手を合意に誘導することが可能になります。
交渉では、相手が納得して支払える条件を提示しつつ、企業側の損害感情をある程度満たす形に落とし込むことが重要です。これにより、長期化によるコスト増や感情的対立を回避し、実務的な解決を図ることができます。

まとめ

退職者への損害賠償請求は、法的には可能な場面が多い一方で、実務的には多くのハードルがあります。過失相殺による減額、資力不足による未回収リスク、長期化によるコスト増などを踏まえ、早い段階で戦略的な線引きを行うことが重要です。
請求額の全額回収を理想としながらも、現実的には「どこまで追うか」を見極める柔軟さが求められます。落としどころを早期に設定し、そこに向けて交渉を誘導することで、感情的な対立を避けつつ、企業にとって最適な解決が可能になります。
最終的には、損害の再発防止策を講じることが、同様の問題を減らす最良の方法です。内部統制の強化や保険の活用を通じ、退職者への請求が必要になる場面をそもそも減らすことが、長期的な企業防衛につながります
当センターでは従業員による不正行為や過失行為の防止に向けた取り組みから、事後の損害賠償請求、取引先対応まで幅広く御社をサポートいたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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危険度でランク付けする中小企業の債権管理手法

2025-07-18

債権管理できていない中小企業は多い

企業活動を営む中で、貸付金や売掛金など、第三者に対する「債権」を保有することは避けられません。特に中小企業においては、これらの債権を「いずれ回収できるもの」「期日になれば自然に支払われるもの」と捉えがちです。しかし、現実にはそう単純にはいかず、適切に管理しなければ回収不能に陥るおそれもあります。大企業であれば法務部門や財務部門が厳格に管理していることもありますが、中小企業では人手不足などの事情もあり、債権管理が後手に回っていることが少なくありません。
本稿では、そうした中小企業に向けて、債権を「危険度の高さ」に応じてランク付けし、それぞれに対してどのように対応すべきかを具体的に解説していきます。まず最も危険度の高い債権はどのようなもので、どのようにリスクを下げるべきかを理解することが、損失の未然防止につながります。なお、危険度が高いからといってすぐに損金処理すべきという意味ではなく、適切な対処を講じることで回収可能性を高めることを目的としています。

そもそも契約書がない

債権管理における最大のリスクは、「契約書の不在」です。たとえ実際にお金のやりとりがあったとしても、契約書がないことで法的な立証が困難になります。たとえば通帳に貸付金の振込履歴が残っていたとしても、相手方が「これは贈与だった」と主張する可能性もあります。その場合、金銭の性質(貸付か、贈与か)について争いになり、回収が極めて困難になるのです。
また、契約書には金銭の性質だけでなく、支払条件や遅延損害金、担保の有無など、多くの重要事項を記載できます。こうした文書が存在しないことで、債権者側の立場は非常に弱くなります。よって、まずは金銭のやり取りが発生する前提であるにもかかわらず契約書が作成されていない場合、これは最も危険な状態であると認識し、速やかに契約書を整備するべきです。遡及的に作成することも可能ですので、関係が悪化する前に手を打っておくことが重要です。

支払い条件の定めがない

契約書が存在していても、「支払期限」が明記されていない契約は非常に危険です。たとえば「○○の業務について100万円を支払う」とだけ書かれていて、いつ支払うかの記載がないと、相手方にとっては「いつでも支払えばよい」と解釈されてしまい、結果として長期にわたって未回収になるおそれがあります。実際、「今すぐ支払わなければならないという認識がなかった」と主張されるケースも多く、これでは督促の根拠も弱くなってしまいます。
債権管理の観点からは、支払期日がない契約は回収不能リスクが高く、契約書があるにもかかわらず管理不十分な状態といえます。このような契約書があれば、すぐに支払期日や分割払いのスケジュールなど、明確な条件を追記する必要があります。可能であれば、債務者との合意により覚書や修正契約書を交わすことが望ましいでしょう。

長期間支払われていない

債権が長期間にわたり未回収となっている場合、それは時効による消滅という最悪のリスクをはらんでいます。民法上、貸付金や売掛金は通常5年で時効にかかるとされており、相手が時効の援用(=「もう払う義務はありません」と主張)をすれば、たとえ正当な債権であっても法的には回収不能となってしまいます。
したがって、長期間支払われていない債権がある場合には、まず速やかに内容証明郵便などで督促し、相手に「支払意思あり」の返答や一部入金を得ることで、時効の進行を止める必要があります。逆に、少額でも継続的に入金がある場合は、債務の存在を相手が認めているとみなされ、リスクは多少軽減されます。それでも、分割払いの内容や履行状況を逐一確認し、債権の健全性を保つ努力が必要です。

相手の信用リスクが増大

債権の回収可能性は、相手企業の信用力に大きく依存します。つまり、相手の経営が悪化し、支払能力がなくなれば、いくら契約が整っていても意味をなしません。とりわけ、支払期限を過ぎたまま未回収が続いている場合、その間に相手方が倒産や廃業するリスクは日に日に高まります。
したがって、債権者側は相手企業の経営状況に敏感でなければなりません。決算書の開示や支払遅延の頻度などを通じて信用リスクを把握し、危険が増大していると判断される場合は、回収のための法的手段(訴訟や仮差押え)を早急に検討するべきです。「もう少し待てば払ってくれるかもしれない」と楽観的に構えるのは非常に危険です。むしろ、早期の法的対応が被害を最小限に抑えることにつながるのです。

まとめ

中小企業にとって、債権は重要な資産です。しかし、回収が不確実である以上、単に「ある」と思い込むだけでは意味がありません。特に契約書がない、支払条件が不明、長期滞納されている、相手の信用が落ちている――こうした要素が重なるほど、債権の危険度は高くなります。
債権管理の第一歩は、債権ごとにそのリスクを見極めて分類し、対策の優先順位をつけることです。そして、危険度が高いものほど積極的に対応し、時には弁護士や司法書士などの専門家の支援を受けて法的措置を講じることも検討すべきです。手遅れになってからでは、企業の損失は極めて大きくなります。ぜひ、自社の債権を「資産」ではなく「管理対象」として捉え直し、現実的かつ効果的な管理体制を整えることが大事です。
当センターでは弁護士兼公認会計士が、御社の債権を適切にランク付けしたうえで、危険度に応じた対策を丁寧に講じるサービスを提供しております。下記よりお気軽にご相談ください。

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